【症例】転倒による前歯外傷に対する審美治療

【症例】転倒による前歯外傷に対する審美治療

治療内容

転倒により破折した前歯の回復

期間

2ヶ月

治療回数

5回

費用

約300,000円(税込)

治療前の状態・主訴

患者様は20代女性、2日前に自転車で走行中に転倒し、顔面を強打して前歯が欠けてしまいました。痛みは落ち着いていましたが、前歯に触れると強い痛みがあるとのことでした。

初診時は、前歯は欠けていましたが揺れはなく、神経も露出していませんでした。しかし歯に触れると強い痛みがあり、診査したところ、歯の神経はすでに保存困難な状態でした。

審美的な点からも、現状では問題なく日常生活を送るのは困難だと診断し、即日に抜髄(歯の神経を取る処置)をして、応急的ではありますが前歯の形を治しました。その際、患者様より「事故前の状態より、前歯を短くしたい」とのご希望があったため、仮歯にて歯の最終形態の指標を作製することにしました。

せたがや歯科室ブログ|転倒による前歯外傷に対する審美治療|レントゲン画像_治療前1

事故後のレントゲン写真

 

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事故後のレントゲン写真

 

せたがや歯科室|ブログ|転倒による前歯外傷に対する審美治療|事故前のレントゲン画像_治療前3

事故以前のレントゲン写真
歯の先端は綺麗な直線であることがわかります

治療詳細

初診時は、診査を行った後に、歯の神経の処置を開始しました。転倒後2日が経過していたため、歯の内部はすでに出血が止まり、黒ずんでいました。

そこで歯の内部の固まった血や神経の残骸を除去し、歯の根の長さや太さの測定をしました。その後、薬を注入して、歯の神経の処置を終えました。

次に、歯科用樹脂を用いて、歯の欠けている部分を応急的に治しました。その際、患者様より「歯を短くして内側に下げたい」という審美的なご希望があったため、前歯の形態と位置を修正しました。患者様に確認していただき、おおよその形態を作った後に、仮歯用の型取りを行いました。

2回目の来院時には、痛みはほとんど消失していました。再度、歯の内部を洗浄し、3回目の来院時では痛みが完全に消えていたので、最終的な薬を詰めて、歯の神経の治療を完了しました。

 

せたがや歯科室ブログ|転倒による前歯外傷に対する審美治療|薬を詰めた後の画像_治療詳細1

根の中に薬を詰めた後のレントゲン写真
詰めた薬の部分が白く写っている

 

4回目の来院時では、前回処置後、特に問題なく経過したことを確認できたため、被せ物の作製を開始しました。神経がなくなってしまった歯は、元の歯に比べて強度が劣り、折れやすくなっています。そこで「ファイバーコア」という、ガラス繊維と歯科用樹脂を合わせた土台を歯の内部に作製し、被せ物の型取りを行いました。

せたがや歯科室|ブログ|転倒による前歯外傷に対する審美治療|ファイバーコア装着時の画像_治療詳細2

ファイバーコア装着時

 

今回は、患者様から「審美的にも、元々の歯列より改善したい」とのご希望があったため、患者様のご意見を踏まえつつ、仮歯の作製をしました。仮歯の段階であれば長さや位置を可能な範囲で修正できるため、この段階で完成形のイメージを固めていきます。

被せ物の色味は隣の歯、顔色、性別、イメージに合わせて作製します。歯の写真や、患者様のご希望などの情報を歯科技工士に伝え、その方にもっとも合う被せ物を、オーダーメイドで作製します。

せたがや歯科室|ブログ|転倒による前歯外傷に対する審美治療|仮歯装着時の画像_治療詳細3

仮歯装着時

 

せたがや歯科室|ブログ|転倒による前歯外傷に対する審美治療|歯の色味の記録時の画像_治療詳細4

色味の記録時の様子
色調のガイドとなる模型を使用し、周囲の色味を記録していきます

 

5回目の来院時に被せ物を装着して、治療完了となります。

 

せたがや歯科室|ブログ|転倒による前歯外傷に対する審美治療|歯の被せ物完成時の画像_治療詳細6

被せ物完成時

 

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被せ物完成時

治療後の様子

その後、噛み合わせ、痛みなど特に問題なく1ヶ月経過し、審美的にも問題ないとのことでした。他の歯も特に問題がないため、メンテナンスに移行し、4ヶ月ごとの定期検査を行うこととなりました。

主な副作用・リスク

・歯の根の治療の回数は、状態により長期となる場合があります。

・歯の欠け方により、同様の処置が困難となる場合があります。

・歯の土台と被せ物は、自由診療での治療となります。

・歯列の改善は、すべてのご希望に添えるわけではありません。

・被せ物の高さが合わない場合、口腔内にて噛み合わせの調整が必要となります。

<早めの受診により、少ない治療で済む可能性も>

今回の症例は、ご来院いただくタイミングによっては、処置内容が大きく変わった可能性が高いです。

歯の揺れもなく神経の露出もなかったため、事故後、速やかに来院していただくことで、神経を残せた可能性もあります。

今回は数日が経過していましたが、長期間放置せず来院していただけたため、症状が歯の根の先端でひどくなる前に、処置をすることができました。これは、歯の神経の処置を少ない回数で終えることができた、大きな要因の1つです。

事故などで歯以外にも怪我をしてしまった場合は、すぐに歯科医院へ駆け込むことは困難だと思われます。
しかし可能な場合は、できるだけ早く来院していただくことをおすすめします。

 

せたがや歯科室は、祝日以外は毎日診療しております。緊急時はまず当院にお電話ください。できるだけお待たせしない時間をご案内いたします。

今回は怪我による症例でしたが、怪我のみならず虫歯の場合も同様です。まだ小さな虫歯であれば、少ない回数で治療を終えることが可能です。痛みや違和感は放置せず、まずは受診にいらしてください。現在の状態、治療の必要性の有無、治療のメリット・デメリットなどについてご説明させていただきます。

病気は症状がひどくなればなるほど、治療期間が長くなり、歯も弱くなってしまいます。
些細なことでも構いません。お口の中のご心配やご相談があれば、いつでもご予約ください。

せたがや歯科室 歯科医師 松本

 

こちらもご参照ください。
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